研究課題/領域番号 |
17591571
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
黒田 良祐 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (80379362)
|
研究分担者 |
黒坂 昌弘 神戸大学, 大学院医学系研究科, 教授 (70170115)
吉矢 晋一 兵庫医科大学, 整形外科, 教授 (00201070)
村津 裕嗣 神戸大学, 大学院医学系研究科, 医学研究員 (30273783)
藤岡 宏幸 神戸大学, 大学院医学系研究科, 講師 (10252777)
水野 清典 神戸大学, 大学院医学系研究科, 特命講師 (40418778)
|
キーワード | 再生医療 / 末梢血幹細胞 / 多血症板血漿 / 半月板 / 靭帯 / 整形外科 |
研究概要 |
膝半月板損傷・靭帯損傷によって衝撃吸収機能を失い不安定となった膝関節は変性し、非可逆的な関節症変化をきたす。これら半月板・靭帯の再生が可能となれば、その意義は大きい。近年の研究により末梢血からも幹細胞や増殖因子を多く含む多血小板血漿の単離が可能となり臨床での応用が期待される。 1.多血小板血漿:多血小板血漿(PRP)は、自己末梢血から採取でき、豊富な増殖因子を有する。本研究では兎血液由来のPRPを作成し、ゼラチンを併用して半月修復の効果を検討した。in vtro:日本白色家兎膝から採取した半月板細胞を使用し、PRP添加培地を作成し、1%FBS培地をControlとして細胞増殖能、glycosaminoglycan産生、proteoglycansのmRNA産生をを比較検討した。次に兎の内側半月板無血管野に直径1.5mm欠損を作成し、1.PRP+ゼラチン、2.ゼラチンのみの2群に分け治癒過程を組織学的に検討した。PRP添加半月板細胞群ではcontrol群に比べ有意に細胞増殖を認め,より多くのglycosaminoglycan産生を認めた。またより多くのproteoglycansのmRNA産生が確認された。In vivoでは術後12週で、PRP+ゼラチン群においてControl群に比較して豊冨な細胞外基質を持つ繊維性軟骨による修復が確認された。PRP内に含まれる細胞増殖因子が半月板細胞の増殖、細胞外基質の生成を促進していることが示された。 2.末梢血幹細胞:血管新生は靱帯損傷の治癒過程において重要な役割を担う。本研究では、末梢血幹細胞であるCD34陽性細胞を用いラットの膝関節内側側副靱帯(MCL)損傷への局所移植を行い、その有用性を検討した。免疫不全ラットを用い、MCL損傷を作成した。片側にヒト末梢血CD34陽性細胞を局所移植し(治療群)、反対側をコントロール群として比較した。術後1,2,4週で肉眼的、分子生物学的、組織学的に評価した。肉眼的および組織学的に治療群では術後4週までに100%に良好な治癒を認めたが、コントロール群では33%であった。ヒト特異的プライマー、抗体を用いたRT-PCR、免疫染色にて、CD34陽性細胞が血管の再構築に貢献していることが確認された。微小血管密度の定量評価においても治療群で損傷部における血管新生が有意に亢進していることを確認した。ヒト末梢血幹細胞を靱帯損傷部に局所移植することによって、血管新生を通じて靱帯治癒に対して適正な環境を誘導し、靱帯治癒に貢献していた。
|