我々は関節リウマチ(RA)疾患感受性遺伝子を同定する目的で、全染色体に渡るマイクロサテライトマーカーを用いた遺伝連鎖解析を経て第1染色体上D1S253/214に連鎖位置を見いだし、RA疾患遺伝子候補としてデスレセプター3遺伝子(DR3)を同定している。当該遺伝子のRA発症に対する関与を更に詳しく解明する目的でDR3のリガンドである腫瘍壊死因子様分子1A(TL1A)のノックアウトマウス作成を計画し、TL1A遺伝子の相同分子を欠損させたTL1A-KOマウスを相同組み換え法により作成計画しているが、当初作成したベクターの配列に不都合な点があったため、ベクターの再作成を行っている。そこで並行して、TL1A-DR3シグナルの阻害因子であるデコイレセプターDcR3の作用を解析することにより、TL1AのRAに対する影響を調べた。その結果、培養RA滑膜細胞は、炎症性サイトカインTNFα誘導性にDcR3を発現し、TL1A同様のTNFであるFasリガンドによる、アポトーシス誘導を抑制することが、siRNAによる遺伝子ノックダウンと、遺伝子組み換え蛋白質添加実験により、明らかになった(2006.3.19の第52回米国整形外科研究学会集会にて指導院生とともに研究発表を行った)。これらの結果により、TL1Aもアポトーシス誘導を介して、RAに抑制的に作用する可能性が強く示唆されるため、引き続き、TL1A-KOマウス作成実験を継続して行う。
|