研究概要 |
TLlAノックアウトマウスを用いたモデル関節炎による、TLlAが関節炎に及ぼす作用の解析の前段階として、TLlAの特異的レセプターであるDR3と、競合してTLlAに結合して、TLlA-DR3のシグナル伝達を抑制するデコイレセプターDcR3の、関節リウマチ(RA)の炎症の主座をなす関節滑膜細胞における発現と、DcR3がアポトーシスに及ぼす影響について、変形性関節症(OA)滑膜細胞との比較検討を行い、以下の知見を得た。(1)RA、OAともに滑膜線維芽細胞で、DcR3が発現していた。(2)RAとOAとの間に、DcR3 mRNA発現量の有意差は認めなかった。(3)RA, OAともに、リコンビナントDcR3タンパク質前処理により、滑膜線維芽細胞に対するFas誘導アポトーシスは、DcR3の用量依存性に抑制された。(4)RA, OAともに、siRNAを用いたDcR3発現抑制により、Fas誘導アポトーシスが亢進された。(5)TNFα刺激により、RAにおいては用量依存性に滑膜線維芽細胞によるDcR3発現量が著明に増加したが、OAにおいては不変であった。(6)TNFα刺激下でのアポトーシス抵抗性は、RAにおいてのみ著明に増強しており、TNFα刺激によるDcR3の発現増強と合わせて考えると、TLlAに対するデコイレセプターDcR3は、TNFα刺激下におけるアポトーシス抑制へ関与していることが強く示唆された。
|