研究概要 |
これまでわれわれは、非透過性生体材料表面において形成される黄色ブドウ球菌バイオフィルムを定量するための培養・測定方法を開発した。これは固体表面に形成される細菌バイオフィルムを固定・染色し、デジタル実体顕微鏡で記録、その占有率を計測するものである。しかし、この方法では重力によって固体表面に沈下して付着する細菌体とバイオフィルムの鑑別が困難であるため、正確な測定が困難であるという問題があった。そのため、昨年度は培養方法、計測システムに関して検討を加え、より有用な評価ができるよう工夫した。本年度は本法を用いて生体材料として代表的なステンレス及びチタン製のワッシャー表面のバイオフィルム形成量を比較した。その結果をNew quantitative image analysis of staphylococcal biofi lms on the surfaces of nontranslucent metallic biomaterials ; Adachi K, Tsurumoto T, et al.J Orth Sci,2007として発表した。あわせて、本実験系を応用することによって浮遊菌とバイオフィルム形成菌の抗菌薬感受性を比較する実験を行い、後者では前者に比較して感受性が格段に低下することを示し、その結果をAntimicrobial susceptibility of Staphylococcs aureus and Staphylococcs epidermidis biofilms isolated from infected total hip arthroplasty cases ; Nishimura S, Tsurumoto T, et al.J Orth Sci,2006に報告した。さらに、各種薬剤における抗バイオフィルム効果の有無に関する検証実験を継続中である。
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