研究概要 |
関節リウマチ(RA)患者および変形性関節症(OA)患者より関節液を採取し、Charらの方法に準じてLubricinを和製した。さらに、精製したlubricinを元にウサギ抗ヒトlubricin・ポリクローナル抗体を作製し、sMSFリコンビナント蛋白でその反応性を確認した。そしてRAおよびOA患者の関節液、作製した抗体を用いてウエスタンブロットを行いsMSFタンパクの発現を確認した。sMSFタンパクの発現はOAと比較しRAに多く発現していた。 これまで、生体内でのlubricinとヒアルロン酸(HA)との結合についての直接の証明はなされていない。そこで、関節液中のlubricinとHAとの結合の有無について検討した。RA、OA関節液中のlubricinは300kDaの低分子から5,000kDaまでの分子量を示していた。特に、RA関節液では低分子のlubricinが多かった。HAがHA結合蛋白(HABP)に特異的に結合することを利用して、低分子・高分子lubricin分画をHABPに結合させ、結合部分と非結合部分でのlubricinの存在を、抗lubricin抗体をもちいたウエスタンブロットにて検討した。高分子lubricin分画では、lubricinはHABP結合部分にて検出され、また低分子lubricin分画では非結合部分に検出された。これらの結果から、lubricinは種々の分子量とのHAに結合しており、RA関節液ではHAと結合していないlubricinの存在が示唆された。高分子(3,000kDa)また低分子(1,000kDa)HA製剤は関節炎の治療に用いられており、lubricinと高分子および低分子HAとの結合分子の境界潤滑能の検討は重要と考えられ、現在その検討を進めている。また、lubricinと関節軟骨との結合におけるHAの存在意義ついても検討中である。
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