【目的】人工神経そのものを担体としたbFGF-DDSのみならず、すでにbFGF-DDSとして十分な効果が認められているゼラチンを用いたbFGF-DDSを人工神経に応用しさらなる末梢神経の再生が促進されるかどうか検討を加えた。 【方法】Wistar系ラットの坐骨神経に12mmの神経欠損部を作成し、これを二種類の人工神経で架橋する。人工神経は、従来の人工神経と内腔をゼラチンで充填したものを用意し、それらを100μg/mlのbFGF溶液に約1時間浸潤させる。人工神経は手術用顕微鏡下に、マイクロサージャリー用手術用器械を用いて、チューブから神経が脱落しないように神経断端を2mmずつチューブ内に挿入して9-0ナイロン糸で中枢端・末梢端共に2針縫合した。術後8週目にシリコンチューブ及び人工神経と共に坐骨神経を採取し10%ホルマリン液にて固定後にエポン包埋し、チューブ及び人工神経の中央部と神経架橋部の末梢において横断切片を作成し、組織学的にチューブ内および神経束内の単位面積あたりの新生神経数・新生血管数・総血管面積・管腔内血管占有率の項目において比較検討を加えた。 【結果】従来の人工神経単独の場合に比べて、内腔をゼラチンで充填したものの方が有意な神経再生と血管新生を示した。しかし、個体数が不足したためと実験結果にばらつきがあるために統計学的な処理が困難でさらなる実験の追加を要すると考えられた。
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