犬屈筋腱における腱移植に対するヒアルロン酸投与効果(in vitro study) 犬後肢3肢の第2趾・第3趾深指屈筋腱、合計6趾を用いて、深趾屈筋腱をcontrol としてA1pulley(ヒトA2pulleyに相当)と浅趾および深趾屈筋腱、腓骨筋腱の支帯直下部(intrasynoviai graft)、腓骨筋腱の支帯部より近位部(extrasynovial graft)との間の滑動抵抗値をin vitro で測定した。各腱間の滑動抵抗値の違いを統計学的に検定した。 測定後各腱を10mg/mlヒアルロン酸液に5分間浸漬し、再度A1pulley間との滑動抵抗値を測定し、浸漬前後の滑動抵抗値の違いを評価し、同一腱間の浸漬前後の滑動抵抗値の違いならびに浸漬後の各腱間の滑動抵抗値の違いを統計学的に検定した。 浸漬前にはextrasynovial移植モデルの滑動抵抗値はintrasynovial移植モデルおよびcontrolに比し有意に高値であった。浸漬後にはextrasynovial移植モデルは浸漬前に比し、抵抗値が有意に低下し、かつintrasynovial移植モデルおよびcontrol間との有為差が消失した。 一般に腱再建にはextrasynovial graftが用いられることが多く、in vitro study の結果ではあるものの、腱再建に対するヒアルロン酸投与の効果が期待できる可能性を示唆する結果が得られた。
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