研究概要 |
高脂血症自然発症(KHC)ウサギを用いて、高脂血症負荷が変形性膝関節症・軟骨変性の進行に与える影響を検討することを目的に実験的膝関節症を作成し、組織学的な検討を行った.コントロールの日本白色ウサギと実験群の高脂血症自然発症(KHC)ウサギの右膝関節において前十字靭帯切離・内側半月切除手術を行い変形性膝関節症を誘発した。術後8週でウサギを堵殺し、大腿骨遠位荷重部骨軟骨を摘出した。これらのHE染色、サフラニン0染色を行いModified Mankin scoring systemにより軟骨変性の程度を評価した。その結果、日本白色ウサギ(JW)とKHCウサギのModified Mankin scoreはそれぞれ15.5 (SD=4.8,n=6)および23.0 (SD=1.8,n=6)で有意な軟骨変性の進行を認めた(p<0.01)。さらに、脂肪体の部分切除のみを行った左膝(sham手術側)においても、また、JWウサギとKHCウサギのModified Mankin scoreはそれぞれ2.5 (SD=2.0,n=6)および6.5 (SD=1.4,n=6)で有意な軟骨変性を認めた(p<0.05)。手術側スコアの項目では、JWでは軟骨表面の繊維化・軟骨の細胞増殖反応が目立つのに対して、KHCウサギでは軟骨細胞の脱落・軟骨組織の菲薄化が目立ち、軟骨細胞の機械的ストレスに対する細胞反応の低下・修復能力の低下がスコアの低下の主因であることが示唆された.ラット培養軟骨細胞において酸化LDLとLOX-1の結合がAktのリン酸化を阻害し、細胞活性の低下、非アポトーシス性細胞死をもたらすことが知られている.そこで現在、酸化ボスファチヂルコリンに対するモノクローナル抗体およびLOX-1に対する抗体を用いて、それぞれ酸化LDLおよびLOX-1の免疫染色を現在行っている.
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