研究概要 |
人工股関節置換術での手術進入路と軟部組織との関連については以下の研究成果を公表した。即ち、小さな皮切で人工関節置換術を行うと却って皮膚の血行障害が起こること(J.Arthroplasty、23:1045-49, 2008)、後方アプローチと側方アプローチでの軟部組織損傷が異なること(第81回日本整形外科学会学術総会)、股関節後側方アプローチにおける後方軟部組織の修復(第35回日本股関節学会)、Direct lateral approachにおける中臀筋の修復(第39回日本人工関節学会)、股関節前方アプローチ(Smith-Petersen approach)における大腿外側皮神経損傷(Hip Joint、34:758-60, 2008)などである。人工股関節置換術に於けるコンポーネントの設置位置やアライメントが術後機能については、人工股関節の中心が高位に設置されると術後の外転筋力が低下すること(J Arthroplasty、24:240-45, 2008)、人工股関節置換術が膝関節に影響を与えること(Hip Joint、34:403-5, 2008)、全人工股関節置換術の臼蓋部骨移植方法について十分に検討すること(日本人工関節学会誌、38:552-3, 2008)、セメントレスTHAのステムアラインメントがステム周囲の骨密度に影響を与えること(第35回日本股関節学会)などの知見が得られた。最終的に平成17年度からの本研究の様々なデータを解析し日本人に合った大腿骨ステム(Femoral saving stem,以下F-ステム)を開発し、第39回日本人工関節学会で発表した。このF-ステムはlow profileで大腿骨骨幹部を温存させることができ、手術侵襲を小さくできる利点がある。また骨頭径も36mmと大きいため安定性に優れ、正坐などの和式の生活が容易になると思われる。
|