目的1:術後痛モデルでの検討 Brennanらの方法によってラット術後痛モデルを作成し、マイクログリア抑制薬minocyclineと選択的p38MAPK阻害薬SB203580が感覚過敏を抑制するか検討した。感覚過敏はvon Frey filamentsを用いたup-down methodによって逃避閾値を測定し定量化した。Minocyclineの腹腔内投与では、逃避閾値の変化は認められなかった。腰部脊髄を取り出し免疫染色を行ったところ、マイクログリア(OX42)の発現は投与量依存性に抑制されていた。SB203580の髄腔内投与はやはり感覚過敏に効果はなかった。神経因性疼痛モデルとしてL5脊髄神経切断モデルを作成し同様の方法にて検討したところ、minocyclineは投与量依存性に感覚過敏を抑制し、マイクログリアの発現も抑制されていた。SB203580投与も感覚過敏を抑制した。腰部脊髄のリン酸化p38MAPKの免疫染色を行うと、神経因性疼痛モデルにおいて発現が顕著であった。免疫二重染色ではリン酸化p38MAPKとOX42の共発現が認められた。 目的2:神経因性疼痛モデルでの検討 L5脊髄神経切断モデルを用いた。このモデルは神経切断後1ないし2日から神経切断側足底部に機械的アロディニアを生じる。神経切断直後から選択的グリア細胞抑制剤であるpropentofylline(10、3、1μg/day)を7日間、髄腔内に持続投与すると、投与量依存性にアロディニアを抑制した。神経節断後14日、あるいは60日から7日間投与した群では、アロディニアは抑制されなかった。propentofylline投与終了後に腰部脊髄を取り出し免疫染色法でマイクログリアとアストロサイトの発現を検討したところ、いずれの時点で投与した場合もアストロサイトの発現が抑制されていた。
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