研究課題
基盤研究(C)
急性虚血性心疾患は麻酔・蘇生学において重要な疾患の一つであり、急性期における集中管理がなされる事によって治療成績は向上した。急性虚血性疾患の治療概念の中で線溶系は血栓溶解という重要な位置を占めてきた。近年、これらのカスケードが蛋白溶解(proteolysis)にも重要な役割を担う因子として考えられるようになり急性心筋梗の予後(心リモデリング)に重要な影響を与える因子として注目されているが、その詳細は現在までに明らかにされていない。線溶系の活性化因子であるtPAやuPAは既に血栓溶解薬として臨床で繁用されており、その作用は不活性体であるplasminogenから活性体であるplasmin(線溶因子)に変換させる。これらPAは、生体内で血管内皮細胞や血小板から遊離されるPAI-1により不活化される。PAにより産生されたplasminは血栓形成の重要な因子であるフィブリンを分解することで線溶系の中心的役割を担うが、その活性は血液中のα2-antiplasminによって制御されている。近年、線溶因子のplasminは線溶系においてのみならず、種々の蛋白質の限定分解を制御する機能を有することが明らかとされてきた。血液中のplasminが細胞外組織(extracellular matrix)を分解することで、細胞の増殖や遊走を制御していると考えられ、動脈硬化症の発症・進展や癌転移に重要な役割を果たしている可能性を持つものとして注目されている。本研究では、心筋虚血とストレス蛋白質(heat shock protein)との関係に注目し、心筋梗塞により、血中に分泌されたPDGF-BBがp38 MAPキナーゼの活性化を介して心筋のαB-crystallinをリン酸化し、このリン酸化された低分子量ストレス蛋白質が心筋を保護する可能性を示し、心筋虚血との関係を明らかとした。
すべて 2005
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