研究概要 |
平成18年に出版された麻酔科診療プラクテイス20では、臨床麻酔の疑問に答える生理学とのテーマに即して、侵害刺激でなぜ呼吸は速くなるのかという問題について概説した。これは単なる依頼原稿に止まらず、今後の研究テーマを示すものである。すなわち疼痛が呼吸に及ぼす影響を検討したわけである。さらに、今年度は1つの原著論文が掲載され、さらに、もう一つの原著が受諾、掲載予定である。これら二つの論文のテーマはいずれも呼吸に関してであり、それも、咳、欠伸といった呼吸の行動性調節の分野での仕事である。呼吸の在り方が疼痛にいかなる影響を及ぼすかを考えるとき、これらの呼吸様式の再検討は必須であろう。 今年度の学会発表は第84回日本生理学会大会でのペダリング運動が脳波と局所脳血流に及ぼす影響:セロトニン神経系の役割に始まり、IARS 81^<st> Clinical and Scientific Congressでの(1)Systemic blockade of 5-hydroxytryptamine_<2A,2B,2C> receptors decreases sevoflurane minimum alveolar concentration in rats.(2)Systemic blockade of glycine, gamma aminobutyric acid(GABA)_A, and GABA_B receptors increases sevoflurane minimum alveolar concentration in rats.に終わる。いずれも、今後、呼吸と疼痛を絡めた研究を施行する上での前駆的な研究と言える。
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