研究課題
基盤研究(C)
麻酔関連領域での判例で、2004年までの判例を含め法律雑誌などに掲載された判決を中心に、説明義務違反に関連したものを検討した。説明義務違反は脊髄くも膜下麻酔で認められていて、説明義務反が理由で医療側が敗訴となる事例が近年増加していた。説明に関しては、患者の個々の事情を考慮して個別的に説明を行うことなどが認容されていた。説明義務に関する法的解釈としては、従来からの合理的医師基準説が採用されていたが、近年具体的患者基準説が新たに採用されていた。より患者本位に立った説明内容に移行すべきと考えられた。この把握を踏まえ、説明すべき事項や範囲を含め麻酔法の種類別の説明文書を作成した。なるべくわかりやすい文章を主とし、インフォームド・コンセントを得る方針で作成した。麻酔の合併症の記載では、その発生頻度とより危険性が高いものへの言及を試みた。しかし、その根拠となる論文が少なく、具体的数値の記載ができない場合があった。国外の説明文書の検討では、具体的患者基準説に基づく説明と考えられた。フランスやドイツでの麻酔説明文書の検討では、総ページは2から6ページで滋賀医大の同文書とほぼ同じで簡潔な点は似ていた。相違点としては、麻酔の不確実性一百%の安全はありえないとより強調されていた。合併症の頻度に関しては、数値ではなく言葉で説明されていた。わが国の判例でも、その合併症のリスクをどの程度、どの範囲まで説明べきかに関してはまだ確立していないので、個々の症例によりその説明内容は異なると考えられた。今後は、同様な説明を行ってもその理解度は異なるので、いかに理解されているかを確認する方法なりの検討が重要になると考えられ、それらを反映した麻酔の同意書のあり方を検討すべきと考えられた。
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