研究概要 |
1)全身麻酔またはMonitored anesthesia care(MAC)にて日帰り手術を受けた患者を対象として,手術翌日に,術後不快症状,日常生活回復度自己評価(RNA),患者満足度,目帰り手術受容度などを調査した。何らかの不満を表明した患者(24%)での不満原因は,術後不快症状(主に術後痛およびPONV)に関連するものが最も多く,続いて運営に関連するもの(主に説明不足),麻酔手技関連(主に点滴時の痛み)などであった。不満患者では,術後不快症状が多く,RNAが低く,受容度が低かった。 乳癌短期滞在手術におけるセボフルラン麻酔と全静脈麻酔(TIVA)の術中心拍変動(HRV)・循環動態,術後回復,術後嘔気嘔吐(PONV)について検討した。TIVAはセボフルラン麻酔に比べ,術中HRV・循環動態変動が少なく,PONV頻度が低く,術後回復が早かった。 2)Bispectral index(BIS)を指標とした静脈麻酔薬プロポフォール自動投与システムを開発し,MACへ臨床応用した。MACではBIS値およびプロポフォール投与速度が振動し適切な制御が困難であったため,モデルの再構築を行う必要がある。 BIS値および脳波エントロピーRE/SE値に及ぼす瞬目運動の影響を検討した。覚醒しているにもかかわらず,瞬目運動はBIS値およびRE/SE値を著明に低下させた。 3)ラット培養気管繊毛上皮細胞を用いてβ受容体刺激による繊毛運動亢進作用および細胞内cAMP量増加作用に及ぼす吸入麻酔薬の影響を検討した。吸入麻酔薬イソフルランはβ刺激薬イソプレテレノールによる繊毛運動亢進を抑制したが,cAMP量増加は抑制しなかった。また,イソフルラン投与は細胞内ATP量に影響を与えなかった。
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