研究概要 |
本年度(平成18年度)の成果 本年度は,まず正常rat心筋を用い心筋陽性変力作用刺激薬であるisoproterenolによるcyclic AMPの増加を捉えることを試みた。10^<-9>M〜10^<-6>Mで用量依存性のcAMPの産生が得られ、臨床使用濃度である10^<-7>Mを用い、麻酔導入時に中心的に用いられている静脈麻酔薬であるチアミラールを暴露したところ用量依存性にcAMPの産生量が低下するという知見が得られた。 次に、β刺激伝達系のβ受容体の下位にあたるadenylyl cyclaseの刺激薬であるフォルスコリンを用いて同様にチアミラールを暴露したととろ一部用量依存性にcAMPの産生量が低下するという知見が得られた。 これらのことから、チアミラールのβ刺激伝達系に対する抑制効果は少なくとも一部はβ受容体レベルであり、一部はadenylyl cyclase以下である可能性が示唆された。 今後の展開としてはfura-2負荷により細胞長を蛍光的に測定する方法を確立し、isoproterenolおよびフォルスコリンなどを用いて、それらによる心筋収縮力増強に対するチアミラールの抑制効果が単離心筋細胞においてどの程度認められるかを確認していく予定である。 streptozotocin腹腔内投与により糖尿病ラットを作成に関しては、体重減少を伴い血糖値が500mg/dLの糖尿病性ラットの作成に成功している。このラットからすでに確立していた方法を用い、前年度に引く続き新鮮心筋細胞の単離を行ったいるが、正常ラットと違い十分量の心筋細胞の獲得が困難な状態が続いている。したがって、現在は腹腔内に投与するstreptozotocinの量を減量することにより、血糖値は300mg/dLでの糖尿病性ラットを作成することにより、心筋単離時に心筋自体にコラゲナーゼやプロテアーゼで必要以上にダメージを生じさせないようにすることを試みているところである。
|