研究分担者 |
森本 正敏 佐賀大学, 統合分析センター, 助教授 (90136482)
鳥飼 亜利寿 佐賀大学, 医学部, 助手 (10380768)
堤 智子 佐賀大学, 医学部, 助手 (00380767)
垣内 好信 佐賀大学, 医学部, 助手 (70363447)
十時 忠秀 佐賀大学, 医学部, 教授 (20038722)
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研究概要 |
IASPの診断基準に沿った上肢および下肢の複合性局所症候群(CRPS)症例15人(上肢10人;下肢5人)に対して,同意を取得後,局所静脈内デクスメデトミジン(α2アドレナリン受容体作動薬)注入(IVRA-D)を施行した.4-5回を1クールとして施行した.IVRA-D施行後,すべての患者において,疼痛は軽減し,allodyniaの軽減が著明であった.特に患側の温度低下の認められた症例でかつ交感神経ブロックが有効であった症例では有効であった.また,低血圧,徐脈など治療を要するような有害な副作用は認めなかった.この治療の前後において,血中カテコラミン濃度の測定を行った.治療後,ノルエピネフリン濃度の有意な低下を認めた.血中乳酸値に関しては,健側と患側およびIVRA-D施行前後で有意な変化は認めなかった.これらの患者において,サーモグラフィーおよび皮膚温度計を使用して,温度変化を見た.14人では,治療前患側の温度は1度以上健側より低下していた.IVRA-D直後には,有意な温度上昇は認めなかったが,施行後1日目には健側の温度上昇が認められた. また,基礎研究においては,体重200-250gの雄性SDラットを使用し,坐骨神経部分損傷モデル(Seltzer model)を作製した.熱刺激性痛覚過敏および機械刺激性アロディニアについて調べた.また,モデル作成後14日目に潅流固定を行い,脊髄および脊髄後根神経節足底皮膚を摘出し,免疫組織学的手法を用いて検討した.NPY, tyrosine hydroxylase(TH), α2Aアドレナリン受容体(α2AAR), SP, CGRPの分布について調べた.Seltzer modelにおいては,脊髄後角で損傷側ではNPY免疫陽性線維が増加していた.α2AARに関しては,損傷側で免疫反応陽性瀬線維の減少を認めた.足底受容器では,今回明らかな差を認めなかった.
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