研究概要 |
臨床研究では,前年度に引き続き,IASPの診断基準に沿った上肢および下肢のCRPS患者に対し,同意取得後,局所静脈内デクスメデトミジン(α2アドレナリン受容体作動薬)注入(IVM-D)を施行した。症例の増加により、臨床症状で浮腫の著明な症例、患側肢の温度が健側肢より高い症例では、IVRA-Dより局所静脈内ステロイド注入のほうが有効であった。また、IVRA-Dはアロディニアが著明な症例で有効性が認められた。また,IVRA-D施行前後のカテコラミン血中濃度測定では,ノルアドレナリン濃度の低下が施行後に認められた症例では,臨床症状の改善が著明であった. 基礎研究においては,体重200-250gの雄性SDラットを使用し,坐骨神経部分損傷モデル(Selzer model)を作成した.モデル作成前,作成後3,5,7,10,14日目に熱刺激性痛覚過敏および機械刺激性アロディニアについて調べた.1群では,さらに14日目実験後にネンブタールの過麻酔後灌流固定を行い,脊髄,後根神経節,足底皮膚を摘出し,免疫組織学的手法を用いて調べた.また,他の群の坐骨神経部分損傷モデルでは,14日目に痛覚過敏を調べた後,ネンブタール腹腔内投与し,患側足背に静脈路を確保後,患肢を駆血後,局所静脈内デクスメデトミジン注入施行後6時間後に熱刺激性痛覚過敏および機械刺激性アロディニアについて調べた後,過麻酔後灌流固定を行った. 坐骨神経部分損傷モデルでは,熱刺激および機械刺激に対してモデル作成後7日目から変化が認められ,後肢の変形が認められた.これらは,局所静脈内デクスメデトミジン注入により鎮痛効果が認められた. 免疫組織学的研究では,脊髄後角ではα2A受容体免疫陽性線維の減少を損傷側で認めた.受容野にはA2A受容体陽性線維は非常にすくなかった.また,CGRP陽性線維は患側肢で減少していた.
|