研究概要 |
動物は雄性Sprague-Dawleyラットを用いた.ペントバルビタール(50mg/kg)i.p.麻酔下に骨神経部分結紮モデル(PSNL)を作製した.Neuropathic painを生じた動物において,術後14日目に局所静脈内薬液注入の効果を調べた.薬液を注入した.注入20分後駆血を解除した.薬液(Dexmedetomidine(D), Lidocaine(L), saline(S))注入後の疼痛評価は,注入4時間後完全覚醒下に行った.またPSNLモデルにおいて,薬液(D,L,DL,S)注入4時間後,注入1日後,注入2日後に疼痛評価を行った.その後潅流固定を行い,組織学的実験を行った, PSNLモデルでは,手術側に経時的に機械的痛覚過敏,熱刺激に対する潜時の短縮が認められた.熱刺激に対しては,処置後4時間ではL群はS群と比較して有意に潜時の延長が認められたが, D群とは,有意差は認めなかった.機械刺激に対しては,処置後4時間に,paw pressure testでは,D群とS群間に有意差を認めたが,L群とは有意差を認なかった.vonFrey testでは,処置後4時間後にD群, L群で変化が認められたが,D群とS群間に有意差を認めたが,D群とL群には有意差は認めなかった.機械刺激に対しては,処置後4時間では,S群に対してDL群,D群では,有意差を認め,2日目には,S群,L群に対してDL群,D群では,有意差を認めた,Von Frey testでは,処置後4時間では, S群とD群, DL群間に有意差を認めたが,処置後2日目には,DL群にのみ有意差が認められた.免疫組織学的研究においては,PSNLモデルでは,術側の脊髄後角第1,2層でSP-IR parvalbmin- IRの増加は認めたが,α2A受容体陽性反応は,両側とも認めなかった.条件を変えることでも検出することはできなかった.我々の臨床および基礎研究からα2アドレナリン受容体は,CRPSなどの神経障害性疼痛とくに機械的アロディニアの治療に有効性が認められたが,その機序が脊髄レベルでの受容体を介するもののみであるかどうかは不明である.
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