研究概要 |
本年度の実験計画に基づき、局所麻酔薬の作用様式を明らかにするため、水棲かたつむりを用い、神経細胞の培養を行った。神経細胞の培養は,中枢神経を水棲かたつむり用生理食塩液中に摘出した。生理食塩液の組成は,NaCl 51.3mM ; KCl 1.7mM ; CaCl2 4.1mM ; MgCl2 1.5mM ; Hepes 10mM, pH 7.9である。培養液は,Liebowitz L-15mediumをかたつむり用生理食塩液に溶解した。神経節をディッシュ内にピンで止め、表面の結合組織を除去し,細胞を取り出し培養した。このとき,あらかじめかたつむりの中枢神経を,1mLにつき1個の割合で48時間以上浸けた培養液の入ったディッシュ(MEDプローブ)内にて培養した。このディッシュは、刺激記録を専用に行うためのディッシュで、まえもって、ポリ-L-リジンでコートし、培養細胞を接着しやすくした。細胞を取り出しMEDプローブで培養を試みたが、MEDプローブ内にて、細胞体だけの活動電位しか記録することができなかったため、細胞神経節の表面の結合組織を除去し、細胞体を露出させた神経節を、MEDプローブにのせ活動電位を記録した。神経節が電極上に存在しているところから活動電位が記録できた。そこで、まず、局所麻酔薬のリドカイン(1×10-6M〜1×10-2M)の投与の影響を調べた。リドカインを投与すると、濃度依存性に活動電位の頻度は低下し、10mMでほぼ活動が停止することが分かった。pHによる違いも比較したが大きな変化は認められなかった。ただし、この方法は、活動電位の頻度が多すぎる問題点があり、現在、細胞培養方法の工夫を行っている。 本年度購入した倒立顕微鏡は細胞の観察に有効に使用されており、MEDプローブの特性を利用した刺激、記録を行い、細胞体および神経突起への局所麻酔薬の作用機序を明らかにするの実験を続け、結論を示すつもりである。
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