研究概要 |
本研究の目的は、セボフルランが電位依存性Na^<2+>チャネルを抑制するか、もし、抑制した場合、細胞の内外のいずれから抑制するのかを解明することで、吸入麻酔薬の作用機i序を解明することである。 方法:Lymnaea Stagnalisの中枢神経節をトリプシン処理し、LPeD1細胞を摘出して培養した。ホールセル・パッチクランプ法を用いて、電位依存性ナトリウム電流を測定した。セボフルランおよびリドカインを細胞外およびパッチクランプ用ピペットを用いて細胞内へ灌流した。 細胞外灌流においてセボルレンは濃度依存性に活動電位の電圧を抑制した[コントロール:61.8±7.6(mV)、0.4mM:43.8±7.1、2mM:4.8±3.6、4mM:0.9±0.8]。さらに、内向き膜電流を濃度依存性に抑制した[コントロール:-0.98±0.36(nA)、0.4mM:・0.90±0.31、2mM:-0.63±0.21、4mM:-0.35±0.11]。電位依存性Na^<2+>チャネルにおいて、セボルレンは濃度依存性に電位依存性Na^<2+>電流を抑制した[0.4mM:80±11%、2mM:59±12%4mM:48±12%]。 細胞外灌流においては、セボフルレンは活動電位の電圧、内向き膜電流、そして、電位依存性Na^<2+>電流を抑制しなかった。これに対し、リドカインは電位依存性Na^<2+>電流を濃度依存性に抑制した[コントロール:-0.98±0.36(nA),-0.4mM:0.90±0.31、2mM:-0.63±0.21、4mM : and-0.35±0.11]。開口期曲線(steady-state activation curve)、不応期曲線(steady-state inactivation curve)はともにリドカインの方がセボフルレンの方より変位が大きかった。 以上の結果から、リドカインが、細胞内でイオン化して、細胞内から電位依存性Na^<2+>電流を抑制し、且つ不応期曲線(steady-state inactivation curve)を左方移動するのに対して、セボフルレンは細胞外から作用することで電位依存性Na2+電流を抑制するので、細胞内灌流においては電位依存性Na^<2+>電流を抑制はみられず、不応期曲線(steady-state inactivation curve)の著明な左方移動はみられないと結論した。
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