研究概要 |
本年度は、ラットの摘出血管を用い内因性血管収縮物質(フェニレフリン、アンギオテンシンII、バゾプレッシン)による血管収縮作用と蛋白リン酸化酵素isozyme活性を測定し揮発性麻酔薬の影響について検討した。その結果、以下のような知見が得られた。 1.Ang II,PEによりMLC,CPI-17,MYPT1/Thr853,/Thr696のリン酸化が一時的に増加した。 2.麻酔薬はアゴニストが作用していない状況では上記のリン酸化には影響しなかった。 3.セボフルランとイソフルランはAng II,PEによるMLCリン酸化を濃度依存性に抑制した。 4.セボフルランはCPI-17リン酸化を抑制したが、イソフルランには抑制作用は認められなかった。 5.セボフルランはAng IIやPEによるMYPT1/Thr853リン酸化をどちらも抑制した。イソフルランはAng IIによるリン酸化を抑制したが、PEによるリン酸化は抑制しなかった。 6.バゾプレッシン惹起等尺性張力変化に対する揮発性麻酔薬の影響を検討した結果、セボフルラン・イソフルランともに濃度依存性に抑制作用が認められた。その機序について各リン酸化醇素の阻害薬を用いて調べた結果、Rho kinaseの関与が認められた。
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