研究代表者が行ってきた音樂運動療法の検証結果を踏まえ本研究では、救急・麻酔・ICU管理あるいは心肺蘇生症例のなかで重度意識障害を残し寝たきりにならぬよう、ICU入院中の重症脳障害患者に対し、早期より特にイヤホーン音楽など五感を刺激する効果・有用性を証明するため、'脳内に生じた変化→自律神経系→心臓リズムの変動'という伝達経路の中で'心拍の応答反応'を測定解析することから脳内の変化を逆に推定する手法が最も臨床現場で現実的との視点に立ち研究の結果、大きな研究目標の一つであったヒト特有の情緒・感情といった'こころ'の分析を音楽と心拍リズムの変動から評価する手法を見出すに至った。これまで通常一般の心拍変動解析ソフトでは不可能なため、国内国外を通じていまだ報告がみられない。研究代表者はこの心拍変動のゆらぎのうち、1/fゆらぎ解析法に注目した。何故なら1/fゆらぎ現象がヒトの気持ち(情動)を落ち着け、心地よい気分にしてくれる自然界環境(森、小川、海岸)に多く見られる現象であることをヒントにしたもので、特に高周波部分のゆらぎが五感刺激に対しhigh responseした部分としての意義を本研究成果の一つとして証明することができた。すなわち「1/f like scale」表示法として新たにBalance Indexなる概念を提唱した。この成果は漸く2007年の海外誌JCMCに初めて掲載されたので、今後もこの研究成果を周知させるべく努力したい。
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