研究課題/領域番号 |
17591655
|
研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
渡邉 誠之 久留米大学, 医学部, 助教授 (10201196)
|
研究分担者 |
平木 照之 久留米大学, 医学部, 助手 (30320237)
上田 伸英 久留米大学, 医学部, 助手 (80373140)
加納 龍彦 久留米大学, 医学部, 教授 (50040605)
|
キーワード | 肺血栓塞栓症 / 巨大塞栓子 / 経食道超音波検査 / MDCT / 肺血流シンチ / 肺血管内皮障害 / 二次血栓塞栓症 |
研究概要 |
【はじめに】術後超早期の肺血栓塞栓症発生機序の解明および周術期における超音波検査所見の定量的評価と術後肺血栓塞栓症発生および重症度評価の予見、さらには血小板凝集抑制療法を含めた抗血液凝固療法の治療内容と治療開始時期の確立および治療効果の判定を行いたい。 【目的】経食道超音波検査(TEE)で検出された巨大塞栓子が術後肺塞栓症をいつ発症するかどうかを検討した。【対象】骨セメントを使用した人工股関節置換術患者において、術中TEEで塞栓子を検出した42症例において術日と術後1日目に肺塞栓症の有無を検討する。術当日MDCT検査を施行群(MDCT群22名)術後1日目に肺血流シンチグラム検査を施行群(PLS群20症例)を対象とした。【方法】麻酔導入後TEEプローベを挿入し右房長軸像を連続記録した。塞栓子検出時には最大塞栓子面積を計測し0.5cm2以上でMDCT (POD0)もしくはPLS検査(POD1)を施行した。【結果】両群の年齢、体重、手術時間、麻酔時間、出血量、既往歴に差はなかった。術中心拍数、血圧、酸素化能、呼気終末二酸化炭素分圧に両群間に有意差はなかった。術中観察されたTEE所見(右房充満度、時間、巨大塞栓子の長軸長、最大断面積)には両群間に差がなかった。POD0施行したMDCTでは全例に肺塞栓症は検出できなかった。POD1に施行したPLSでは20例中5例(25%)に肺塞栓を検出した(p<0.018)。【結論】術中TEEで塞栓子を検出した骨セメント使用人工股関節置換術患者において高率に肺塞栓症を検出したが、術日には検出されず全例術翌日に検出された。術中に検出された巨大塞栓子は直接的に肺動脈を閉塞せず、二次的に肺動脈を術翌日までに閉塞していることがわかった。これは骨セメントに起因する巨大塞栓子により、肺血管内皮障害が発生し、術後に起こる血液凝固能の活性化と相互作用を起こし、肺動脈内に二次血栓を形成したのではないかと推測される。今後、骨セメントと肺血管内皮障害との関係および血液凝固能活性化と二次血栓との関係について明らかにしたい。
|