研究課題/領域番号 |
17591661
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
松浦 忍 秋田大学, 医学部, 講師 (40332465)
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研究分担者 |
鈴木 義久 京都大学, 医学研究科, 助教授 (30243025)
土谷 順彦 秋田大学, 医学部, 助教授 (70282176)
羽渕 友則 秋田大学, 医学部, 教授 (00293861)
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キーワード | 陰茎海綿体神経 / 勃起障害 / 神経再生 / 生体吸収素材 / アルギン酸 / ゲル・シート / 無縫合 |
研究概要 |
前立腺全摘術は、限局性前立腺癌に対する最も根治性の高い治療法の一つであるが、勃起神経非温存症例では術後の勃起機能不全は必発である。これらの症例で、かつ勃起機能温存を希望する場合には、比較的重要でない知覚神経(主に腓腹神経)を採取し移植する自家神経移植法が試みられている。しかし、自家神経移植は健常知覚神経採取に伴う支配領域の知覚の犠牲が必発であること、切断した神経断端との吻合により手術時間が延長することなどいくつかの問題点があり、一般の施設での普及には至っていない。 そこで我々は、より簡便な勃起神経再生術式の開発を目的に本研究を立ち上げた。本研究の神経再生にあたっては、共同研究者・鈴木義久らの開発した生体吸収素材(アルギン酸共有結合架橋ゲルスポンジ)を凍結乾燥しシート状に加工したものを用いた。この生体吸収素材は、従来のカルシウム架橋素材に比較し、細胞毒性が低く、神経再生により適していることが報告されている。ネコ坐骨神経を対象とした研究では約5cmの神経欠損部の再生を確認している。 平成17年度は、基礎実験としてラットを対象に実験を行った。麻酔下、顕微鏡下で陰茎海綿体を両側切除し、欠損部に上記ゲルのどちらかを貼り付けた。この際、貼り付けたシートの縫合をしないで閉創した。術後3ヶ月で約7割のラットに勃起機能の回復を認め、形態学的にも神経の再生過程を観察した。平成18年度は、アルギン酸共有結合架橋ゲルスポンジの臨床応用に向けて安全性に関し検討中である。
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