研究概要 |
パーキンソン病の自律神経障害が近年QOL(生活の質)の観点から注目されている。このうち排尿障害(とくに頻尿・尿失禁)は約70%と高頻度にみられ、患者のQOLを損なうことから(Sakakibara R, Shinotoh H, Uchiyama T, Sakuma M, Kashiwado M, Yoshiyama M, Hattori T. Questionnaire-based assessment of pelvic organ dysfunction in Parkinson's disease. Auton Neurosci.Basic Clin 2001;92;76-85.)、治療上の重要なターゲットと考えられる。近年の研究によれば、排尿機能は、単純な脊髄反射ではなく、複雑な中枢神経支配を受けるとされている。すなわち、パーキンソン病における排尿障害の解明のためには、排尿に関連した中枢神経系の研究が重要と考えられる。この点に関して我々は、第2年度である本年、ネコをもちいて、脳幹部のうち、排尿に密接に関連するセロトニンニューロンの起始核である縫線核ニューロンが、排尿周期に関連して発火すること、同部位の微小電気刺激で排尿反射が抑制されることを見出し、英文雑誌に原著として発表した。(Ito T, Sakakibara R, Nakazawa K, Uchiyama T, Yamamoto T, Liu Z, Shimizu E, Hattori T. Effects of electrical stimulation of the raphe area on the micturition reflex in cats. Neuroscience.2006;142:1273-1280.)
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