研究概要 |
未治療前立腺癌・再燃性前立腺癌患者における、IL-6以外の数種類の血中サイトカイン値を測定した。健常人と比べて前立腺肥大症患者において血清IL-4値の上昇は認められなかった。血清IL-4値は治療前病期の比較において早期癌より進行癌のほうが高い傾向がみられた。燃前立腺癌患者のほうが血清IL-4値の上昇が有意に認められた。IL-4は再燃性前立腺癌において、前立腺癌の進展に関与することが示唆された。また、前立腺癌細胞にアンドロゲンレセプター(AR)を発現するベクターをトランスフェクションし、アンドロゲンやIL-4によって処理した。その結果、IL-6同様IL-4もARを非リガンド性に活性化した(研究発表)。 次にインフォームドコンセントが得られた前立腺癌患者において各病期にある血清(未治療、内分泌療法にて制癌された状態、手術単独療法、再燃の初期、再燃の末期)が50例(100検体)ほど得られた。これら検体をもとに血清タンパクをプロテオーム解析に移る準備に入った。まず,どのようなタンパク質が前立腺癌の病期、治療前後で有意に変動しているかスクリーニングする予定である。 研究発表の概略は以下の通りである。 前立腺癌組織において第2染色体に高頻度の染色体欠失(LOH)を認めた。また、LOH解析を原発巣と転移巣におこなった結果、第2染色体に4ヵ所の共通欠失領域を発見し、これを報告した。 転移性前立腺癌患者のアンドロゲンレセプター遺伝子CAG繰り返し構造においてその長さと治療前血清テストステロン値の相関をもとめ、治療における予後因子となることを報告した。
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