1)IL-10がアンドロゲンレセプター(AR)におよぼす影響の検討 IL-10のARとの関連について検討した。前立腺癌培養細胞にPSAプロモーターをトランスフェクションし、1)対照、2)R1881、3)IL-6、4)IL-10を添加し、培養した。R1881は、陽性コントロールとして対照の6倍反応がみられた。IL-6は対照の10倍の活性がみられた。IL-10はIL-6よりPSAプロモーターの活性が少ないものの(2倍)反応を示した。IL-10によりPSA活性がみられたことから、ARとの関連性を検討した。ARのN末端のみをトランスフェクションし、1)対照、2)R1881、3)IL-6、4)IL-10を添加し、培養した。培養細胞をルシフェラーゼアッセイを行なった。IL-10はIL-6(10倍)より活性が低いものの(3.5倍)、対象やR1881(それぞれ1倍)より活性が高いことが判明した。このことから、内分泌療法抵抗性前立腺癌における再燃のメカニズムにおいてIL-10がIL-6、IL-4同様にARの非リガンド性の活性化に関与することが示唆された。 2)2次元電気泳動による再燃前立腺癌患者における血清タンパクとARとの関連性の検討 前立腺癌内分泌療法の治療経過の異なる30例において2次元電気泳動によるタンパク質解析実験を行っている。実験のセッティング、基礎データはすでに得られており、データの一部はすでに学会にて報告済みである。2次元電気泳動における同一患者における治療の経過による血清蛋白の変化において蛋白発現で増加しているスポットと減少しているスポットが判明している。今後、これらの解析を行い、内分泌療法経過中において明らかな差を認めた発現蛋白については、ゲル上でその発現スポットを採取し詳細に検討するつもりである。
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