膀胱癌におけるN-cadherin発現と癌浸潤および転移に関する検討

2006 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 17591664
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 冨田 京一 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (20272578)
• 研究分担者: 久米 春喜 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (10272577) ; 北村 唯一 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (70010551)
• キーワード: 膀胱癌 / E-cadherin / N-cadherin / c-Met

研究概要

膀胱癌細胞5637、575AとT24のcell linesにおけるN-cadherin, E-cadherinおよびc-MetについてPCR, Western blotおよび免疫組織染色法を用いてそれぞれの発現を調べた。5637および575Aは3種類すべてを発現していたが、T24はE-cadherinの発現はみられなかった。現在、免疫染色の良い条件設定が得られていないため工夫中でありHGF(hepatocyte growth factor)を細胞培養液に加えて、それぞれの細胞におけるN-cadherin, E-cadherinおよびc-Metの発現の変化について、HGF濃度を変えて、その程度を観察しているところである。
膀胱全摘および経尿道的腫瘍切除術の手術凍結標本(大学倫理委員会で承諾を得た方法により、手術前に全患者から標本採取について承諾書を得ている)を用いて蛋白の発現をみるため免疫組織染色法でN-cadherinおよびE-cadherinの発現をみている。現在、43例で評価を行いHigh Gradeな腫瘍は70%以上がE-cadherinの発現が現弱し、low gradeではほとんどみられなかったN-cadherinの発現が増強してきている。Confocal scanning laser microscopyを用いてFITCとTRITCによる二重染色を行いN-cadherinおよびE-cadherinの局在を明確にすとN-cadherinの発現は細胞膜より細胞質に強くみられるようになり、膀胱癌細胞が筋層など周囲組織に浸潤している部位で特に強く発現していた。膀胱癌のpT stagでは浸潤癌は表在癌に比べて有意にN-cadherinの発現が増加していた。