研究概要 |
本年度は、膀胱神経支配を回復できるかの予備実験として、移植された骨髄間質細胞が損傷を受けた膀胱平滑筋層を修復し、膀胱機能を回復できるかを研究した。骨髄間質細胞を移植する3日前に、雌のヌードマウスの膀胱の半分に冷却アイロンバーを膀胱にあてて、膀胱損傷を作成した。骨髄間質細胞は雄マウスの大腿骨より採取して、膀胱へ移植する7日前より培養を行った。コントロールとしては、堵養媒体のみ移植をした。移植前と移植後14日目に膀胱壁を免疫組織学的に解析し、平滑筋の遺伝子発現を定量し、膀胱内圧検査もあわせて施行した。移植を行った膀胱には骨髄間質細胞から分化した平滑筋細胞が層状に発現した。また、膀胱損傷を行う前と移植後14日目の比較では、膀胱平滑筋のmRNAも増加し、膀胱機能も回復した。培養媒体のみを移植したコントロールマウスでは、1匹のみ8日間以上生存したが、14日目の膀胱壁に平滑筋は認めなかった。これらの結果より、骨髄間質細胞移植は膀胱機能を回復させる可能性があると考えられた。これら一連の成果は、現在、専門誌に投稿中である(Imamura, T., Kinebuchi, Y., Ishizuka, O.et al.,Tissue Engineering. Submitted)。この研究成果をもとに、今後、膀胱神経支配機能、および、尿道機能回復の研究に発展させる予定である。
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