研究概要 |
[腹膜透析患者におけるMMP遺伝子多型] 最近腹膜透析患者における細菌性腹膜炎で透析液中のMMP-9が上昇すること、またMMP-2がEPSの早期診断マーカーとなる可能性が報告されている。このため腹膜透析患者におけるMMP-2-1306、MMP-9-1562のSNP検索を行い臨床項目との検討を行った。 対象:当院及び関連病院にてfollow upされている腹膜透析患者146例。 結果:MMP-2についてはC/Cが100例、C/T14例、T/Tが0例。C/C群とC/T, T/T群との数が大幅に異なるため統計学的解析が困難であった。MMP-9に関してはC/Cが100例、C/Tが33例、T/Tが6例であった。現在、臨床的データ(腹膜炎の発生率)と比較検討し統計学的解析中である。 [生体腎移植後患者におけるIL-1β遺伝子多型] 腎移植後の慢性移植腎症(Chronic Allograft Nephropathy,以下CAN)とサイトカインの遺伝子多型について検討を行った。 対象と方法:1990年から現在までに生体腎移植術を施行され,当院及び関連病院にて移植後管理を受けている患者.かつProtocol Biopsyが施行され病理所見を含めた臨床データの調査が可能であった患者27名が対象.これらの患者に対して,IL-1βのSNPsと移植腎生検の病理組織学所見,移植後腎機能,移植後合併症等の臨床所見を比較検討した. 結果:腎移植後患者27例におけるIL-1β-511(location : Exon 5)のSNPsはC/Cが8例(29.6%)、C/Tが15例(55.6%)T/Tが4例(14.8%)であった。CANがの発生頻度はC/C群で5/8例(62.5%)、C/T群で9/15例(60.0%)、T/T群で2/4例(50.0%)で各群間に有意差は認められなかった。 現在、急性拒絶反応の発生率等、あるいはCANの重症度との関連について検討中である。
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