研究課題/領域番号 |
17591681
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
泌尿器科学
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
福森 知治 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (10314874)
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研究分担者 |
金山 博臣 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (10214446)
西谷 真明 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教授 (40304521)
高橋 正幸 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (50325255)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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キーワード | 泌尿器科癌 / アポトーシス / ガレクチン / 転移 / 血管新生 |
研究概要 |
われわれは、一般的に抗がん剤耐性である前立腺癌および免疫治療耐性の腎細胞癌における薬剤耐性機構を解明するために、多くの癌細胞の細胞内外で強発現が認められ、細胞の増殖、血管新生、アポトーシス調節等に関与し、癌の浸潤・転移に重要な役割を担っているガラクトース結合レクチンの一つであるガレクチン-3に着目し、癌細胞におけるガレクチン-3のアポトーシスに対する分子制御機構を検討した。 前立腺癌細胞では、ガレクチン-3の発現していないヒト前立腺癌細胞株LNCaPに対して、ガレクチン-3の発現したLNCaP細胞(LNCaP-gal-3)は、50μMのシスプラチンおよび300μMのエトポシドで誘導されるアポトーシスに抵抗性であった(アポトーシス誘導率;66.3% vs 2.9%および43.8% vs 15.4%)。さらに、ガレクチン-3は前立腺癌細胞において、Badのリン酸化を促進し、ミトコンドリア膜の脱分極を抑制することでミトコンドリア膜を安定化し、シトクロムcの放出とカスパーゼ-3活性を抑制してアポトーシスを抑制することも見いだした。以上の結果はCapcer Research 66:3114-3119,2006に報告した。 さらに、ヒト腎細胞癌組織では、正常実質部分と比較して有意にガレクチン-3の発現が高く、さらに転移巣でその発現が最も高かった。ガレクチン-3は腎細胞癌組織から抽出されたCD8陽性T細胞に結合し、有意にアポトーシスを誘導し、siRNAでガレクチン-3をノックアウトした細胞ではCD8陽性T細胞に対するアポトーシスを誘導効果が減少した。 これらの結果は、ガレクチン-3が前立腺癌および腎細胞癌における抗がん剤および免疫療法耐性に関与しており、ガレクチン-3を分子標的にすることで薬剤感受性を亢進させ得る可能性を示唆するもので、臨床に応用する上で非常に意義のある結果と思われる。
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