研究課題
基盤研究(C)
DNAの異常メチル化に起因する癌抑制遺伝子の不活化は発癌の過程で重要な意味を持つが、腎癌におけるエピジェネティックな遺伝子発現異常は未解明の領域である。本研究では、腎癌細胞株を用いてMCA/RDA法によるゲノムワイドなDNAメチル化部位解析を行い、癌特異的メチル化を示す遺伝子を同定した。さらに、同定された遺伝子の臨床症例におけるメチル化解析を行うとともに、当該遺伝子の機能解析を行うことで癌化に関わる細胞内経路をあきらかにした。MCA単離遺伝子群のメチル化解析の結果、HOXB13遺伝子が腎癌特異的メチル化を示し、メチル化と発現消失が相関すること、5-aza-dC処理により発現が回復することがあきらかになった。メチル化と腫瘍のグレードおよび静脈浸潤に相関が認められたが、VHL遺伝子異常との関係は認められず、両遺伝子は細胞内で異なる経路を介して癌化の制御に関わっていることが示唆された。またHOXB13の発現によりアポトーシスが誘導され、細胞増殖が抑制されることがあきらかになった。さらに単離遺伝子群について、腎癌以外の癌についてメチル化解析を行ったところ、BMP-6遺伝子が、悪性リンパ腫で高頻度のメチル化とそれにともなう遺伝子不活化を示すことがあきらかになった。悪性リンパ腫症例の予後解析の結果、BMP-6メチル化は予後不良因子であった。本研究により腎癌の発症と悪性化にHOXB13の関与する細胞内経路の異常が関わっていることが初めてあきらかとなり、血管新生因子の阻害を作用機序とする腎癌治療薬とは異なる新規分子標的治療薬開発の可能性が開けた。また、HOXB13遺伝子は腫瘍特異的なメチル化を示すことから、メチル化を指標とする腎癌の新規腫瘍マーカーとして有望であると考えられた。一方、BMP-6遺伝子のメチル化は悪性リンパ腫の予後判定用新規マーカーとして有用であることが確かめられた。
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