研究課題
基盤研究(C)
[目的]外尿道括約筋は尿禁制保持機構において最も重要な横紋筋組織であり、加齢や手術によって外尿道括約筋が障害されると腹圧性尿失禁を生じる。本研究ではヒト外尿道括約筋衛星細胞の同定と分離培養を行い、その増殖分化制御機構を解明して外尿道括約筋再生療法の開発をめざした。[方法]前立腺全摘および膀胱全摘症例より外尿道括約筋を微量採取し、コラゲナーゼ処理後に初代培養する。抗NCAM抗体結合させた磁気ビーズを用いて襟CS法にて外尿道括約筋筋衛星細胞を分離する。骨格筋特異転写因子(Myf-5とMyoD)の免疫染色を行い、骨格筋系列の細胞であることを確認し、SV40 virusのlarge T抗原を遺伝子導入して長寿化外尿道括約筋細胞を作成した。[結果・考察]ヒト外尿道括約筋衛星細胞はHGFとIGF-Iによって増殖が促進され、蛋白レベルおよびmRNAレベルいずれにおいてもHGFとIGF-Iを産生しており、無血清培地24時間培養後に中和抗体によって増殖が抑制された。従ってヒト外尿道括約筋衛星細胞はHGFおよびIGF-Iを産生しオートクリン作用によって自己増殖を促進していることが示唆された。さらにヒト外尿道括約筋衛星細胞において、HGFはMAPK経路とPI3-K経路の両者を活性化するものの主にMAPK経路を介し、IGF-IはPI3-K経路のみを介してシグナルを伝達していることも明らかにした。加齢とともに外尿道括約筋はアポトーシスによって横紋筋細胞が減少することが報告されており、われわれはTNF-αによってヒト外尿道括約筋衛星細胞にアポトーシスが誘導されることを初めて見出した。即ち、TNF-αは濃度依存性に外尿道括約筋衛星細胞の増殖を抑制し、アポトーシスを誘導する。TNF-α阻害剤によって外尿道括約筋衛星細胞の減少を抑制され、高齢者尿失禁の予防や治療が可能となるかもしれない。
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