研究課題
Hypoxia inducible factor(HIF)は低酸素状態で活性化される転写因子であり、vascular endothelial growth factor(VEGF)の産生を誘導する。腎細胞癌における特徴的な血管増生の主要なメカニズムを担うものと考えられる。腎癌細胞株におけるHIF-αのサブタイプの発現とVHL遺伝子の変異との関連およびVEGFの発現との相関について検索した。9種類の腎癌細胞株を使用し、VHL遺伝子変異をダイレクトシークエンス法で検索した。腎癌細胞株である786-O, A-498, SW-839, 769-Pの4種でVHL遺伝子変異あるいはメチル化によると考えられる発現の消失が見られた。RT-PCR法によりmRNAの発現を検討したところ、HIF-2αの発現はすべての株で検出されたが、HIF-1αのmRNAは769-PとKU20-01ですべての領域で欠損し、786-Oはtruncated formが検出された。蛋白レベルでの発現をウエスタンブロット法で検索したところ、上記3つの細胞株に加えてA-498とSW-839も蛋白発現が認められなかった。ノザンブロット法でさらに検索したところ、この2種ではmRNAを検出できず、mRNAの発現レベルが低いため蛋白レベルで発現を認められなかったものと考えられた。786-Oはノザンブロット法でもtruncated formが検出された。全体として、mRNAの発現レベルと蛋白の発現レベルは相関した。HIF-2αの発現も同様にノザンブロットおよびウエスタンブロット法で検索したところ、769-P以外のすべての株での発現を認めた。A-498とSW-839におけるHIF-1α蛋白の低発現、769-PにおけるHIF-2α蛋白の低発現はmRNAの低発現に起因するものと考えられた。HIF-1αの発現が消失していた株ではHIF-2αにより高いVEGFの発現を維持していたが、HIF-2αの発現も低い769-PではVEGFの発現は低いままであった。
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