研究概要 |
子宮平滑筋の興奮収縮連関には,細胞内Caイオンの動員が必要不可欠であり,細胞内Caイオンの動員機構を理解するためには,筋小胞体膜上に存在するイノシトール三リン酸(IP3)受容体とリアノジン(Ry)受容体の役割を知ることも重要となる.さらに,平滑筋細胞の膜の安定化や電気的特性の理解には,NaイオンやKイオンの動員機構を解析することも重要である.本研究では,イオンチャネルmRNAの定量とアイソフォームの解析を行うため,P3受容体・Ry受容体・Naチャネル・KチャネルcDNAの一部を規定するプライマーを作成し,妊娠ラット子宮筋から抽出されたRNAを用いてreverse transcription-polymerase chain reaction(RT-PCR)を行った.そして,アイソフォームの解析を行った.次に,CR産物を電気泳動した後そのゲルを染色し,ゲルバンドをscanning densitome try systemを使って解析し相対的に比較定量した.さらに,β2受容体刺激剤とオキシトシンの影響を調べるため,ホールセルクランプによるチャネル特性の解析を行った.ラット子客筋の組織片を子宮平滑筋細胞に単離した後,簡易培養をした.細胞膜に微小ガラス電極を接着させギガオーム・シールを形成しホールセルクランプを行った.電気刺激装置により細胞膜電位をある一定の保持電位から適度な脱分極側に変化させることで電圧勾配を作り,その結果発生する電流をホールセルクランプ用増幅器で測定した.その際,標準媒液にβ2受容体刺激剤(塩酸リトドリン,硫酸テルブタリン)やオキシトシンを添加しチャネル電流を経時的に測定した.また,細胞内Caイオン濃度の測定による解析を行った.蛍光顕微鏡画像処理装置を用いて子宮平滑筋の細胞内Caイオン濃度を測定した.まず,細胞外液Caイオン濃度とカルシウム拮抗剤ニフェジピンの影響を確認した.また,細胞外液にβ2受容体刺激剤(塩酸リトドリン,硫酸テルブタリン)やオキシトシンを添加し細胞内Caイオン濃度を経時的に測定した.
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