研究課題/領域番号 |
17591726
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
加藤 清 信州大学, 医学部附属病院, 助手 (40334908)
|
研究分担者 |
塩沢 丹里 信州大学, 医学部, 助教授 (20235493)
小西 郁生 信州大学, 医学部, 教授 (90192062)
|
キーワード | 子宮内膜癌 / サイクリン / 抗癌剤感受性 / アポトーシス / MAP kinase / periplakin |
研究概要 |
当教室では、サイクリンA発現する子宮内膜癌患者の予後が不良であったことから、サイクリンAの抗癌剤感受性に対する作用を検討した。その結果、サイクリンAを強制発現させた内膜癌細胞株ではシスプラチンに対する感受性が低下したこと、さらにその原因として、サイクリンA導入細胞ではシスプラチンによるアポトーシスの低下が見られたことを見出した。我々は次にサイクリンAによるアポトーシス抵抗性の分子機序を検討したところ、アポトーシス誘導因子であるBadがサイクリンA導入細胞によりリン酸化を受け、アポトーシス誘導機能が低下していること、またこのBadのリン酸化がPI3-kinase-Akt経路の活性化によることを見出した。次に我々はサイクリンAによるこの活性化の分子機序を明らかにするために、サイクリシA導入による遺伝子変異をマイクロアレイ解析とreal-time RT-PCR法によって包括的に解析したところ、サイクリンA導入によって発現が増加する因子としてperiplakinとFGF(fibroblast growth factor)9を同定した。このうちpriplakinは細胞内でAkt分子の足場蛋白としてAktシグナルの安定化に関与するといわれている。我々はまずperiplakinの関与について検討したところ、免疫染色で内膜癌におけるサイクリンAの発現とperiplakinの発現が相関する傾向を認め、免疫沈降法によってperiplakinとAktの結合を確認した。さらにsiRNA法を用いてperiplakinの発現を抑制したところ、Aktの燐酸化の低下が観察されたことから、我々はサイクリンAがperiplakin-Aktの経路を介してアポトーシスの発現を抑制していることを世界で初めて見出した。この発見はサイクリンAを新たな分子標的とした内膜癌の治療戦略の確立のために重要であると考えられた。これら知見は平成17年第64回日本癌学会総会シンポジウムにて発表し現在投稿準備中である。
|