研究課題/領域番号 |
17591730
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
由良 茂夫 京都大学, 医学研究科, 助手 (60335289)
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研究分担者 |
佐川 典正 三重大学, 医学研究科, 教授 (00162321)
伊東 宏晃 京都大学, 医学研究科, 講師 (70263085)
益崎 裕章 京都大学, 医学研究科, 助手 (00291899)
依藤 亨 京都大学, 医学研究科, 講師 (60220779)
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キーワード | IUGR / 摂餌制限 / グルココルチコイド / 栄養 |
研究概要 |
胎児の子宮内発育遅延(IUGR)は胎児低酸素症のハイリスク群であると同時に、出生後も罹患率、死亡率が高く、慎重な周産期管理、新生児管理が必要な主要な病態のひとつである。また最近、IUGR児では、出生後良好な発育をし、いわゆるcatch-upした児においても、成人期に高血圧、心臓冠動脈疾患、糖尿病、高脂血症など各種生活習慣病が高率に発症することが報告されつつあり、現代の少子化社会においてIUGR児における栄養供給と発育や代謝機能の関連を解明することは従来にもまして重要となっている。本研究では、IUGR胎児のエネルギー代謝の異常について明らかにすることを目的とし、本年度は種々のマウスモデルにおける母体栄養状態と子宮内胎児発育の関連を検討した。まず、妊娠後半期に通常食(蛋白含量20%)の給餌量を対照群の70%に制限した摂食制限マウスを作成し、胎児発育が平均約17%制限されることを確認した。さらに摂食制限を加えた妊娠マウスの食餌を蛋白質含有率40%の高蛋白食とすると胎仔の発育制限が約5%改善すること、胎仔発育の改善には胎仔肝臓でのIGF-I遺伝子発現の増加が関与していることが明らかとなった。一方、妊娠母体へのグルココルチコイド(GC)投与は胎児に様々な影響を及ぼすことが知られている。そこで、マウス母獣に摂食制限を行った際に認められた母獣血中のGC上昇が胎児発育障害にどのように関与するか検討するために、妊娠母獣にGCを投与した。妊娠母獣へのGC投与は母獣の摂食量を増加させたが、逆に胎仔の発育を抑制した。このとき胎盤や胎仔肝臓におけるIGF-I遺伝子発現は増加しており、胎仔の発育抑制はこれとは別の機序によると考えられた。本年度に作成したこれらのマウスIUGRモデルにおける脂肪組織変化を来年度以降に検討する予定である。
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