研究課題/領域番号 |
17591734
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
木村 正 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (90240845)
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研究分担者 |
下屋 浩一郎 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (40291950)
筒井 建紀 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (00294075)
荻田 和秀 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (80379247)
天満 久美子 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (60397718)
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キーワード | 着床 / Stat-3 / デコイ / HVJ-E / 着床不全 / 原因不明妊娠 / 子宮内膜 |
研究概要 |
我々は以前に確立したHVJ-Eベクターを用いたマウス子宮内への一過性遺伝子導入法を用いて、着床時期におけるstat-3阻害を試みた。まず、stat-3結合モチーフを1回もつ2本鎖オリゴデオキシヌクレオチドデコイを作成し、これをマウス性交後1.5日目(1.5p.c)の子宮腔内に導入したが妊娠は成立し、正常に分娩した。次にstat-3結合モチーフをタンデムに2回もつデコイを同様に導入すると、5.0p.c.の子宮における活性化stat-3が50%となり、妊娠率が30%以下になった。同じ5.0p.cにおいて、エバンスブルー静注法にて着床部位を検討すると70%以上のマウスで着床が完全に阻害された。5.0p.cにおけるマウス血中プロゲステロン値、子宮におけるPR-Aの発現、卵巣の形態はデコイの導入によっても変化はしなかった。着床しなかった胚盤胞を子宮腔内より洗い出すと形態的に正常であり、また、stat-3 dominant negative cDNAを組み込んだ発言ベクターを用いて同様の実験を行い、胚盤胞よりDNAを抽出してPCRにより導入遺伝子の胚への移行を検討したが、胚への遺伝子導入は見られなかった。ついで、精管結さつ雄マウスと性交させた偽妊娠マウスにこのデコイを導入し、セサミオイルを注入し、機械的脱落膜反応をみるとstat-3結合モチーフをタンデムに2回もつデコイは脱落膜化を有意に抑制した。これらの結果はマウス子宮内局所でstat-3の着床期の活性化を阻害すると脱落膜化が障害され、内分泌環境を乱すことなく着床不全が起こることを意味する。我々は現在この現象がヒト原因不明不妊患者の子宮内膜でも起こっているかどうか、臨床検体を用いて検討をはじめている。
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