研究課題/領域番号 |
17591744
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
苛原 稔 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (20160070)
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研究分担者 |
松崎 利也 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (70294692)
桑原 章 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (20325278)
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キーワード | 排卵誘発 / 多胎妊娠 / 多嚢胞性卵巣症候群 / メトホルミン / インスリン抵抗性 |
研究概要 |
排卵誘発法の副作用を軽減する排卵誘発法を開発し、不妊治療による多胎妊娠の発生を抑制することを目的として、今年度は多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)に対するメトホルミン療法について検討した。 PCOSに対する排卵誘発では、ゴナドトロピン療法で副作用が起やすい。したがって、クロミフェンの奏功率をあげ、ゴナドトロピン療法への移行例を減らすことが治療戦略上の要点となる。クロミフェン療法の奏功率を上げる試みとして、近年、欧米でメトホルミンとの併用療法が行われ、高い排卵誘発効果が得られている。メトホルミンは糖尿病治療薬であり、糖代謝やインスリン抵抗性を改善する作用を持つことから、主としてインスリン抵抗性の強い肥満PCOS症例で効果があると考えられる。我々は日本産科婦人科学会の診断基準で診断し、クロミフェン100mgによる排卵誘発に対し2周期以上反応しなかったPCOS患者5例を対象として、クロミフェン150mgの増量法(増量法)とクロミフェン・メトホルミン併用療法(メトホルミン療法)を無作為前方視的なcrossover法で検討した。増量法では月経周期の5日目からクロミッド【○!R】150mgを5日間内服し、メトホルミン療法ではさらにメルビン【○!R】750mgを月経周期の5日目からhCG投与日まで内服した。対象患者5例のうち4例は肥満症例であった。増量法では4周期中1周期のみ排卵し、一方、メトホルミン療法では5周期中4周期(80%)が排卵し2周期で単胎妊娠が成立した。排卵は全て単一卵胞であった。また、メトホルミンによる消化器症状や低血糖などの副作用は認めなかった。以上から、日本においてもクロミフェン抵抗例に対してクロミフェン・メトホルミン併用療法が有用である可能性が示唆され、検討を続ける意義があると考えられる。
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