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2006 年度 実績報告書

卵巣癌腹膜播種に対するカルポニン遺伝子治療の分子機序解明と臨床応用に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 17591747
研究機関九州大学

研究代表者

小林 裕明  九州大学, 大学病院, 講師 (70260700)

研究分担者 上岡 陽亮  九州大学, 大学病院, 助手 (50372743)
福嶋 恒太郎  九州大学, 大学病院, 助手 (40304779)
和氣 徳夫  九州大学, 大学院医学研究院, 教授 (50158606)
谷口 俊一郎  信州大学, 大学院医学研究科, 教授 (60117166)
キーワードカルポニン / 遺伝子治療 / 卵巣癌 / 腹膜播種
研究概要

1)マウス実験で副作用が生じなかったCNh1遺伝子治療を臨床に応用する場合、卵巣癌細胞が腹膜中皮層を越えて浸潤するまでの過程を抑制した本療法の作用機転から考えると、術後補助化学療法と繰り返し併用することによる腹膜播種の予防が当面の治療戦略と考えられた。そこでヒト卵巣癌細胞を腹腔内移植したヌードマウスに対して臨床で標準的に用いられるタキサン系抗癌剤を投与し、それにCNh1アデノウイルスを腹腔内投与する併用治療実験を行った。するとコントロールアデノウイルスを併用投与した抗癌剤治療群に比し、その生存日数が延長した。卵巣癌腹膜播種に対する抗癌剤治療とCNh1アデノウイルス遺伝子治療との併用効果が確認された。
2)非担癌マウスを用い抗癌剤治療とCNh1アデノウイルス遺伝子治療を併用した場合の副作用を検討したが、抗癌剤に起因する体重減少を有意に悪化させることはなかった。また、腹腔内癒着などの治療副作用も生じなかった。よって、CNh1遺伝子治療は抗癌剤治療の毒性に影響を与えない可能性が示唆された。
3)ヒト卵巣癌細胞と腹膜中皮細胞においてCNh1遺伝子導入の前後で発現が変化する遺伝子群を、特に細胞骨格分子および接着分子に着目してマイクロアレイを行い解析した。多くの発現変化が生じた遺伝子群が得られ、さらにその一部はRT-PCRでも発現変化が確認された。明らかな発現変化が確認された遺伝子に関して機能別に分類し検討した。
カルポニン腹腔内遺伝子療法は同一遺伝子が癌抑制および宿主防御能の増強という二面的効果を有する新しい概念の遺伝子治療であるが、今回の研究結果から卵巣癌診療の場における主たる術後療法である抗癌剤治療との併用効果が確認され、同時に副作用の増強は認めなかったことから、本治療は卵巣癌腹膜播種の治療に臨床応用しうると考えられた。カルポニン遺伝子導入により発現変化する遺伝子群を明らかにすることは、本治療の作用機序の解明および安全性の裏づけに必須であると考えられた。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] Adenovirus-mediated calponin h1gene therapy directed against peritoneal dissemination of ovarian cancer : bifunctional therapeutic effects on peritoneal cell layer and cancer cells.2006

    • 著者名/発表者名
      Ogura T, Kobayashi H, et al.
    • 雑誌名

      Clin Cancer Res 12

      ページ: 5216-5223

URL: 

公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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