研究概要 |
石岡、梅村は、卵巣癌における主要な組織型の種類別の細胞株を収集し、それぞれに対して、現在の主要な化学療法剤であるTaxene系及び新規プラチナ製剤Oxaliplatinの感受性を検討した。 石岡は、まず現在卵巣癌に最も用いられている抗癌剤であるTaxane系抗癌剤に対して感受性のある明細胞癌以外の細胞株、それらに対する耐性株を用いて、これら細胞株に一定時間、Taxane系抗癌剤及びOxaliplatinを暴露し、その投与前後における遺伝子群発現のパターンの変化を主にアポトーシス関連遺伝子に注目して、cDNAアレイテクニックを用いて検討し、各種抗癌剤効果発現、耐性獲得におけるアポトーシス関連遺伝子群の変化を検討した。 梅村は、同様に明細胞癌細胞株を用いてTaxane系抗癌剤及びOxaliplatinを投与して、その前後の遺伝子群発現のパターンの変化をcDNAアレイを中心とした方法により検討し、他組織型のTaxanne系抗癌剤感受性株、耐性株での遺伝子発現パターンとの比較をおこなった。そしてこれらのデータをもとに、薬剤毎、組織型毎に薬剤感受性、耐性に関連する遺伝子群を選定した。 ミトコンドリア系アポトーシス関連遺伝子Bad,Bag-1、SMAC/DIABLOなど、ストレス反応関連遺伝子、GADD45,JNKなどが薬剤耐性に関連するアポトーシス関連遺伝子として同定された。今後、これらを基本としたアレイを作成するとともに、石岡、梅村は蛋白レベルでの発現との違いを検討するために2次元電気泳動を施行し2-Dマップを作製、薬剤毎、抗癌剤感受性毎にデータベース化する。こうしたDifferential proteomic displayにより、質量分析計あるいはシークエンサーにて同定する予定である。これにより、各薬剤毎に薬剤感受性、耐性に関与する蛋白、特にアポトーシス関連蛋白を選定し、最終年度の同蛋白に対する抗体の作製、及び同抗体の抗癌剤感受性及び耐性に及ぼす影響の実験の基礎とする。
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