研究課題/領域番号 |
17591755
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
大和田 倫孝 自治医科大学, 医学部, 助教授 (40203955)
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研究分担者 |
鈴木 光明 自治医科大学, 医学部, 教授 (50110870)
嵯峨 泰 自治医科大学, 医学部, 助手 (70360071)
小澤 敬也 自治医科大学, 医学部, 教授 (30137707)
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キーワード | 卵巣癌 / 腹膜播種 / 分子標的治療 / 遺伝子治療 / アデノ随伴ウイルス / 基礎研究 |
研究概要 |
卵巣癌の腹膜播種抑制を標的とした分子標的・遺伝子治療の研究において、今年度は以下の研究成果が得られた。 1)AAV-HGF/NK4の作成 卵巣癌における血管新生抑制および腹膜播種抑制因子であるsoluble Flt-1(sFlt-1)、interleukin-10(IL-10)、HGF/NK4の各遺伝子に対して、既に作成に成功しているAAV-sFlt-1、AAV-IL-10に加えて、AAV-HGF/NK4の作成に成功した。その過程は、HGF/NK4 cDNAをP1.1c発現ベクターのマルチクローニングサイトに組み込みHGF/NK4発現ベクターを作成した。さらにHGF/NK4発現ベクター、ヘルパープラスミドおよびアデノ随伴ウイルス遺伝子発現プラスミドを、リン酸カルシウム共沈法により293細胞にトランスフェクションしAAV- HGF/NK4ベクターを作成、セシウムクロライド濃度勾配法により精製した。 2)IL-1Oによる腹膜播種抑制を目的とした卵巣癌遺伝子治療 IL-10発現ベクターを、VEGF高分泌で、顕著な腹膜播種能を有する卵巣癌株SHIN-3に遺伝子導入し、IL-10強発現株(SHIN-3/IL-10)を樹立した。ex vivoにおいて、SHIN-3/IL-10接種マウスの新生血管数は、コントロールに比べて有意に少なかった(1.9本vs4.2本)。また、腹膜播種、生存期間の観察では、SHIN-3/IL-10腹膜播種マウスにおいて、播種巣数の抑制(7個vs96個)および生存期間の延長(≧96日vs48日)が確認された。治療モデルとして、ヌードマウスの腹腔内にSHIN-3を接種し、腹膜播種を形成させ、マウス後脚にAAV/IL-10を筋注し、腹膜播種抑制効果を検討したところ、AAV/IL-10筋注マウスにおいて播種巣数抑制効果がみられた(48個vs98個)。また、生存期間の延長(54日vs30日)および血管新生の抑制(3.0本vs4.9本)も確認された。 今回の研究結果から、IL-10を用いた卵巣癌腹膜播種を標的とした遺伝子治療の可能性が示唆された。
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