研究課題
核タンパクのなかで、リンカーヒストンH1はヌクレオソーム同士を接合させ、高次の染色体構造形成に重要な役割を果たしているともに、遺伝子発現調節機構としての役割も推測されている。H1ファミリーにはサブタイプが多く、卵子特異的ヒストンH1(H1foo)は原始卵胞から2-4細胞期胚までにしか存在しないため、卵子の全能性や遺伝子のリプログラミングへの関与が推測されている。我々はヒトに於ける卵子特異的ヒストンの遺伝子を決定し、その蛋白局在や受精時の精子核への取り込みの経時的変化を報告してきた。今年度は、胚発生に伴うmRNA量の推移、体細胞ヒストンへの移行、および完全長cDNAクローンの作成と、これを用いた完全長タンパク発現を試みた。結果として、ヒトに於けるH1fooはnested-PCRによる半定量法で、4細胞で胚あたり3000-6000コピー程度存在するが、桑実胚期にいたると1000-2000コピーと減少していた。一方卵子・胚には体細胞ピストンH1aが発現することが明らかになった。また、市販ヒト卵巣組織cDNAライブラリから完全長cDNAクローンを作成し、タンパク発現を大腸菌、およびコムギ胚芽無細胞系で試みた。大腸菌では発現が見られなかったが、コムギ無細胞系ではタンパク発現がみられた。現在、精製タンパクからモノクロナール抗体を作成するとともに、組み替えタンパクを作成し、リン酸化部位を解析中である。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (3件)
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