研究概要 |
進行内膜癌症例の術後補助治療の個別化を図るため、組織診・細胞診検体を用いて、MMR遺伝子等のgenetic/epigeneticな変化を検索する腫瘍の個性診断を行い、抗癌剤・黄体ホルモンの感受性に関する情報が得られれば、オーダーメイド治療が可能となることが期待される。そこで、H17年度は以下の通り研究を進めた。 1.体癌手術材料に対してMSI検索を行い、28.5%の症例でMSI-Hを確認した。 2.MMR酵素蛋白発現の検索を行い、免疫組織化学により、hMLH1,hMSH2,hMSH6蛋白発現低下をMSI陽性症例のそれぞれ54%、12%、18%に認め、いずれかの蛋白発現低下はMSI例の73%に認めた。特にhMLH1蛋白発現低下とMSIとの間には有意な相関関係を認め、hMLH1遺伝子のpromoter領域のメチル化はMSI例にて有意に高率(92%)に認められた。 3.MSI例に対してMMR遺伝子の生殖細胞変異の検索を行い、MLH1遺伝子とMSH6遺伝子に変異率が高い傾向を確認した。 4.CDDST法を用いて、癌性胸膜炎、癌性腹膜炎患者の胸腹水にて抗癌剤感受性検査を行い、cisplatin、paclitaxel、docetaxel等の感受性を確認し得た。 5.HDRA法抗癌剤感受性検査を行い、MSIと腫瘍免疫との関連を検索したところ、MSIと腫瘍内に浸潤するcytotoxicなCD8陽性リンパ球(TIL)数の多寡との関連については、MSI陽性群でTIL数が有意に多いことを確認した。またTIL数が多い(15個/HPF以上)症例では有意に予後良好であることが確認された。さらに、TIL数が多い症例では有意にcisplatinに対する感受性が高いことが示された。 6.若年の初期体癌症例60例に対して高用量黄体ホルモン療法を行い、約95%を越える奏効率を得た。
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