研究課題/領域番号 |
17591763
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
産婦人科学
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
大槻 勝紀 大阪医科大学, 医学部, 教授 (50140166)
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研究分担者 |
後山 尚久 大阪医科大学, 医学部, 非常勤講師 (20148430)
伊藤 裕子 大阪医科大学, 医学部, 講師 (40148432)
李 忠連 大阪医科大学, 医学部, 助教 (80319532)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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キーワード | estrogen / receptor / Biacore / transcription / promoter / Gel Shift Assay / exponential / extrapolation |
研究概要 |
ERαは増殖期の腺上皮内に強く発現するc-Junとbcl-2プロモーターに存在する二つのAP-1 motifへの結合を強める作用が認められた。一方、分泌期に発現が低下するc-Junに対して、ERαの存在にも関わらずc-Jun/bcl-2プロモーター複合体の存在が認められなかった為、c-Junによるbcl-2の転写制御はc-Junに対するERαの作用を受けると示唆される。その上、c-Jun/bcl-2プロモーター複合体にはリン酸化されたc-Jun(Ser 73)が不安定に存在する事から、この増殖期特異的に存在するERαの作用は非リン酸化c-Junとリン酸化されたc-Jun(Ser 73)に深く関わることが考えられる。更に、c-Junのプロモーターに存在する複数のERE結合領域の一つは増殖期の子宮内膜腺上皮の核内抽出物とDNA/ERα複合体を特異的に形成し、分泌期の核内抽出物とDNA/ERα複合体が検出されなかったことから、ERαは直接にc-Junの転写を制御するを明らかにした。以上の結果から、ERαは直接にc-Junの転写を制御する一方、c-Junに結合する事によって、ヒト子宮内膜腺上皮で増殖期特異的に発現するBcl-2の転写を制御すると考えられる。 ERの機能を制御すると思われるリン酸化p-Akt(Thr 308)は、増殖期の腺上皮細胞核内に強く発現し、分泌期ではその発現は消失した。一方、異なる部位のリン酸化p-Akt(Ser 473)は、増殖期では内膜のらせん動脈の平滑筋にのみ発現が見られたが、分泌期では腺上皮の細胞質に強く発現した。つまり、p308AKTは増殖期の腺上皮細胞核内で機能し、分泌期に移行するとp-Akt(Ser 473)が細胞質内で機能するようになると示唆された。一方、リン酸化ERを観察すると、p-ERα(Ser 167)は全く発現していなかったが、p-ERα(Ser 104)αとp-ERα(Ser 118)は増殖期・分泌期ともに細胞核内で強く発現していた。 Ishikawa細胞株を用いて観察したところ、p-ERα(Ser 104)αとp-ERα(Ser 118)およびp-ERα(Ser 167)は細胞核内で強く発現しており、正常な腺上皮細胞とは異なるリン酸化ERが存在することを明らかにした。AKTあいはIP3Kのアンタゴニストを投与したところ、その発現が弱くなったとともに、ミトコンドリアの膜電位の低下と細胞膜表面におけるホスファチジルセリン(PS)の出現を認め、この時にエストロゲンを投与すると、これらの変化が有意に抑制された。また、アンタゴニストを投与した細胞の溶解物を用いて測定したところ、Capase-3とCapase-9活性の上昇が認められた為、リン酸化p-Erα(Ser 104)とp-Erα(Ser 118)およびp-Erα(Ser 167)を脱リン酸化することによって、ミトコンドリア経路を介してアポトーシスが誘発されたと考えられた。以上の結果から、正常なヒト内膜腺上皮細胞において、異なるリン酸化ERは月経周期ごとに機能し、リン酸化ERを調節するPI3KとAKTの機能が低下すると、アポトーシスが誘導されることを明らかにした。
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