研究概要 |
マイコプラズマ属のUreaplasma urealyticum(Ur)感染の臨床的意義:妊婦の膣分泌物を培養し、UrよりDNAを抽出、urease geneをPCRにて増幅し、biovarを決定した。Ur感染に関して、正期産例のUr陽性例は901300(30.0%)、 biovar 1は55/61(90.2%)、 biovar 2は6/61(9.8%)であった。早産例のUr陽性例は15/30(50.0%)、 biovar 1が10/10(100.0%)であった。正期産例と早産例におけるUr感染率は早産例に有意に高く認められた。またbiotypeは正期産、早産ともにbiovar 1が高かった。 羊膜細胞でのToll like receptor(TLR)-2,-4発現:帝王切開より得られた胎盤の羊膜より羊膜上皮細胞培養を行い、RNAを抽出した。RT-PCRでTLR-2,TLR-4の発現が確認され、Urのlipoprotein(LP)およびグラム陰性菌のLPSは羊膜上皮細胞のTLR-2,-4に認識され活性化シグナルが伝達される可能性が示唆された。 Urが直接TLRを介して細胞を刺激することができるか:Urの菌体からLPを抽出した。TLR-2,-4の存在が知られているヒト単球系細胞株THP-1細胞に添加しTLRのリアルタイムPCRを行ったところ、TLR-2の発現増強が認められた。LPS及びUr LPで刺激したTHP-1細胞のapoptosis誘導は、無添加群に比べて有意に高かった。さらにELISA法にて、Ur LPで刺激されたTHP-1細胞は時間経過とともにIL-8の産生が増加したことが確認された。またLPS刺激したのちUr LPを添加し培養したところ、LPS単独添加に比べてLPS+LPではIL-8の産生が有意に増加した。IL-18は測定感度以下であった。
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