研究概要 |
今年度は,精巣腫瘍での機能未知遺伝子(PTP-X)の発現調節の解析とin vitro, in vivoでのsiRNAによる発現抑制系での機能解析を行った。 発現調節の解析は、精巣腫瘍細胞株(NEC8,NEC14)とヌードマウス由来の精巣腫瘍組織を正常マウス精巣組織と比較した。PTP-X遺伝子のRT-PCR, Northern分析による発現量、スプライシングの異常について検討したが,いずれの腫瘍についても変化は認められなかった。 in vitro機能解析は、正常生殖細胞株(GC-1)に遺伝子の特異的な配列をコードしたsi-RNAを導入し,得られた発現抑制株について調べた。親株と比較して、発現抑制株は細胞形態、液体培地中(血清濃度1-10%)での細胞増殖速度、共に変化はなかった。また,マトリジェル上でのネットワーク形成,ラミニンコート上での接着能についても検討したが親株との差は認められなかった。 発現抑制株と親株を用いてPTP-Xのノックダウンにより低下する遺伝子をoligo chipアレイにより探索したところ,精巣では未分化型から分化型精原細胞への分化に関与するcyclin D2、自己複製に関与しているTrim28など複数の遺伝子を見いだした。現在、PTP-Xとこれらの遺伝子との関連について検討している。 in vivoでのsiRNAによる発現抑制系での機能解析については、ES細胞にLacZとPTP-X特異的遺伝子を標的にしたsiRNAをコードするレトロウイルスベクターを感染させ,胚に導入しキメラマウスの作製を行っている。今後,得られたキメラ個体の精巣組織について遺伝子解析,組織解析を行い精子形成過程への影響を検討する予定である。
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