研究概要 |
ドセタキセルを用いた化学放射線同時併用療法の治療感受性及び再発を予測する決定的な因子を同定し,適切な症例選択による精度の高い治療を実現することを目的とし、本年度は下記項目につき重点的に研究を施行した。 (1)ドセタキセル併用化学放射線同時併用療法施行症例の蓄積(2001年より継続中) 頭頸部癌ドセタキセル同時併用放射線療法の対象症例は当科を受診した頭頸部癌新鮮例のうち、病理組織型は扁平上皮癌か未分化癌、部位は喉頭、中咽頭もしくは下咽頭(声門T1を除く,T1-3症例)、年齢は75歳以下、performance statusは1以下で、測定可能病変を有する症例とした。治療効果は根治照射の場合は照射終了後一ヶ月時点で、手術の場合は組織学的残存腫瘍の有無で判定した。治療スケジュールは、放射線療法は喉頭癌、中咽頭癌は一回2.5Gy週4回、下咽頭癌は一回2Gyの照射を施行し,化学療法はドセタキセル10mg/m^2を週1回投与し、40Gyまでに4回施行し,照射を継続する場合は6回まで施行した (2)臨床標本における既知分子指標の免疫組織学的発現 治療前に採取した腫瘍組織における、分子生物学的因子(cyclin D1,p53,p16,Bc1-XL, CD44,E-cadherin, VEGF, elF4E等)の発現を免疫組織学的に検討した。緩衝フォルマリン固定パラフィン包埋標本より切片を作成後、抗原の賦活化を行い一次抗体を用いた通常のABC法にて免疫組織染色を行った。染色結果は顕微鏡下に観察し、画像処理システムを用いデジタル化して陽性・陰性の判定を客観的に行った。 (3)分子指標の発現と臨床病理学的所見との関連の多変量解析 既知分子指標の免疫組織学的発現と、臨床病理学的所見、すなわち初診時臨床病期、経過中の局所・領域再発の頻度、遠隔転移の出現頻度、および予後との関連について、多変量解析を用いて検討した。
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