研究概要 |
急性上気道感染のアレルギー性鼻炎に及ぼす影響を検討するため、スギ花粉症患者から花粉シーズンに定期的な鼻汁採取とアレルギー日記の記載依頼を行った。シーズン終了後に、鼻汁中のウイルス遺伝子(インフルエンザウイルス,RSウイルス,ライノウイルス,パラインフルエンザウイルス)の検出を核酸増殖法にて行い、また鼻症状の推移をアレルギー日記からsymptom-medicationスコアとして検討した。その結果、10名のスギ花粉症患から継時的に鼻汁の採取が可能であったが、このうち2名の患者から延べ3回、インフルエンザウイルスあるいはライノウイルス遺伝子が検出された。この検出時に一致して症状スコアの増悪がみられていた。千葉におけるスギ・ヒノキ花粉数とこの増悪した鼻症状との間に関連は認められず、症状の増悪にはウイルス感染が影響していると考えられた。さらに、これらのスギ花粉症患者は、ウイルス遺伝子検出時に上気道感染罹患の自覚はなく、鼻症状の増悪は花粉症の悪化と判断していた。スギ花粉飛散シーズンは、上気道感染の罹患も多い時期であるが、上気道感染が花粉症症状の増悪に影響している可能性が強く示唆される。 一方、ウイルス感染の鼻症状増悪の機序を明らかにするべく、B6マウスを用いて卵白アルブミン抗原として実験的鼻アレルギーモデルを作製した。RSウイルス経鼻摂取して気道感染を引き起こし、その後の卵白アルブミン点鼻誘発の影響を検討したところ、RSウイルス感染マウスでは、非感染マウスに比較して著しい強い誘発症状を呈した。この機序についての解析を進めている。
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