研究概要 |
本研究で、幼若ラットから摘出した前庭神経節細胞を用いて少なくとも4日間までの初代培養を行う手法を確立した。 培養した前庭神経節細胞に対して、パッチクランプ法を用いてその発火特性につき検討を行い、その発火パターンは3種類に大別できることが判明した。すなわち、細胞に注入する電流の量を増やしても1〜数発の活動電位しか発生しないタイプ(phasic type)と、注入する電流の量を増やすとそれに伴って活動電位の数が増加ずるタイプ(tonic type)、さらにこれら2つのタイプの中間の発火パターンを示すタイプ(intermediate type)に分類された。生後5-7日目のラットでは、phasic typeが約60%、intermediatetypeが20%、tonic typeが約20%であった。 パッチクランプ法の電流固定モードにて、これらの細胞のK+チャネルの特性について検討した。Phasic typeの細胞のK+電流は約-30mVから活性かするのに対し、tonic typeの細胞では約-50mVからK+電流が活性かすることが判明した。このことほ、これら2つのタイプの前庭神経節細胞でほ、低電位活性化型のK+チャネルが異なっていることを示す。さらに、このチャネルの特性について検討したところ、低電位活性化型のK+チャネルは、Kv1チャネルの阻害薬であるα-dendrotoxinによって特異的に抑制されることが判明した。 電流固定モードで、α-dendrotoxinを細胞外投与すると、phasic typeの細胞が、tonic typeと同様の発火特性を示すことを確認した。これらの実験から、前庭神経節細胞の発火特性には,Kv1チャネルの有無が重要な役割を果たしていることが判明した。
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